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最後の終業式

 
今年はいつもより早いですが、今、校庭の桜が咲き始めています。条件付きを含めてですがみなさんの進級を祝ってくれているのでしょうか。おめでとう。そしてお疲れ様でした。
今年度は、誰も経験したことのない予想外の一年になり、戸惑いや不安、時にはいらだちさえ覚える日々が続きました。でも、みんな本当によく頑張りました。
1年生は入学式も挙行できずに新しい友達と交流もないまま、長期間の臨時休校に入り、顔も知らない担任の先生からの連絡を待つばかりだったと思います。2年生は、待ちに待った修学旅行の準備が進んでいましたが、現状の調査や関係機関の情報から、中止するという苦渋の決断を行いました。その時の、みなさんの思いを想像するだけで胸が苦しくなったのを覚えています。しかし、1年生2年生、共に通常の生活を乱さず、コロナ対策とそのマナーを守り、互いに気遣い合い、立派に生活行動をしてくれました。また、体育大会や文化祭の中止に替えて、文化部発表会やTシャツコレクション、そして学年別体育大会や最後の球技大会まで、自分たちのできることを全員で精一杯やり遂げて、互いに励まし合い、応援し合って成功させたことは、やっぱり阿倍高生はとても素晴らしいと感じるばかりでした。今ここで改めて、皆さんを心から褒めたいと思います。
3月2日に3年生の卒業式が行われました。皆さんを代表して、自治会の2年生梅原さんは「先輩方の後に続いて頑張れた、ありがとうございました」と感謝の言葉で締めくくり、卒業生を力強く送り出してくれました。その3年生たちも、同じ不安を抱えながらもそれぞれが進路決定に向けて最後まで真剣に努力し、素晴らしい成果を挙げているところです。また後日、そのことがみなさんに報告されるでしょう。
コロナ禍の不安はまだまだ続いていますが、これから日が経つにつれて鎮静化されていくことでしょう。災害による社会の衰退が去った後は、必ず新たな世の中の繁栄が訪れているのがこれまでの事実です。時代が移り変わる過程において、繁栄と衰退を繰り返しながら社会は常に変化し、同じ状態が長く保持されることはありませんでした。今、リモートワークが進み、近い将来に半数近くの仕事が次第にAIにとって代わるという時代が来ると予測されていますが、この新型コロナウイルスの大流行でさらに想定していたよりもずっと早く、急速に広がるのではないでしょうか。そして、コロナの後は、以前の社会と同じスタイルに戻ることはきっとないと思います。
学校も同じく、今年の秋頃には一人一台のIパッドの活用がはじまり、授業形態もIT活用が徐々に進んでいきます。皆さんの前にある黒板もこのようなホワイトボード化を図り、他校に先駆けた準備ができました。
は授業観察において皆さんの授業に対する積極的な姿勢や行動などが、このところ年々向上していると判断しています。また、総合的な探究の時間などを通して、自己を見つめ、キャリア学習やSDGs学習などで幅広く自分の生き方を主体的に考えるなど、先生たちも経験したことない分野までをしっかりと取り組んでいる姿には感心するだけでなく、これから繁栄する社会を創る人たちだという頼もしささえ感じました。中でも2年生はSDGsの取組みについて朝日新聞の号外版が発行されるに至り、井上麻衣さんはJICAの国際協力エッセイコンテストで「国際協力特別賞」を受賞されるなどの成果を挙げてくれました。その内容は、校長室前に展示していますので観てください。
最後になりましたが、私は阿倍野高校で通算16年間お世話になり、この3月末で定年退職です。最後は皆さんの顔を見ながら話したかったですが、今の本校の生徒の皆さんはあらゆる場面でも一切手を抜かず、何事にも素直に真剣に取り組み、自分だけでなく周りの人とも協力して大きな成果をだせるエネルギーが溢れているように思います。個々の学習においてもその姿勢を貫けば、必ず希望する進路実現につながると確信しています。
そして、先生方も今年度はみなさんと同じくコロナ禍の対応に振り回され、休業中も含めて毎日クタクタになって課題づくりやオンライン授業、消毒作業等までをしながら、結果として皆さんを進級に導きました。その間、常に生徒一人一人を心配し、みんなで話し合いながらできる限りのことをして頑張っていました。そこには生徒を大切に思い、全力でサポートしようという熱意に満ちている姿ばかりでみんな素晴らしい先生です。
この4月からは、そんな先生方のもとで、また一緒になって、これから繁栄する社会に、繁栄する阿倍野高校をめざして頑張ってください。みなさん今までありがとう。さようなら。 
                                           第22代校長 古 元 康 博