夏休みの読書案内②

今日の推薦本は「ぼくの命は言葉とともにある」。著者は福島智さん。9歳で失明、18歳で聴力を失った全盲ろう者である著者。今は東京大学教授。

皆さんは見えない、聞こえない世界を想像できますか。著者は「盲ろうの世界は宇宙空間に一人漂っているような状態」と言います。自分の存在も見失い、認識できなくなるような状況で生きていること。

ヘレンケラーは生後19か月で見えなくなり聞こえなくなりましたが、著者は、見える世界・聞こえる世界を堪能している中で、学校で意識的に学ぶ中で、次々に見える世界、聞こえる世界を失いました。ヘレンケラーとは違った苦悩があったことは容易に想像できます。

その壮絶な苦しみや苦悩の中で、著者が行ったこと、考えたこと。盲ろう者として初めての大学進学。そして東大教授。・・もう感動そのもの。

その真空に浮かんだ自分をつなぎとめるのは他者の存在。他者とのコミュニケーション。

 まず人とのコミュニケーションをとる方法を失った。コミュニケーション法として「指点字」をお母さんと一緒に発見。指を点字のタイプライターに見立て。しかしすぐにまた孤独に。1対1の会話ならなんとかなるが、複数の人がいる場面ではとたんに周囲の状況がつかめず置いてきぼり。そこでもう一人の人が「直接話法」(「○○さんが○○と話した」など)で指文字で伝えてくれることで何かがスパーク。

著者は、盲ろう者になり、自分に生きる意味があるか悩み、絶望感。しかし「極限状態の中で人間の本当の価値が発揮される」と考え、苦悩だ。苦悩には意味があると気づく。「どうして自分はこんな苦悩を経験しなければならないのか。理由はわからないが、この苦悩には何か意味がある。自分の将来を光らせるために必要なものなのだ」と考えるように決めた。

生きる意味、生きているというが、「生かしてくれている」という感覚。挑戦とは一人だけで頑張り成果を得ることではなく、常に有形・無形の他者の手助けとともにあるもの。重い一言です

 

とにかく。苦しみながら立ちすくんでいる人。生きることに勇気をもらえる感動の一冊です。一読をおすすめ。学校の図書館にあります。