夏休みの読書案内①

暑い夏です。今年読んだ本の中から何点か読書案内。

 

今日の1回目は、読書についての話です。

「夜を乗り越える」。ご存じ「火花」で芥川賞を受賞したお笑い芸人、又吉直樹の文学・読書論。熱心な読書家でもある彼(「又吉」との呼び捨ては失礼な気がします。あえて言うなら「又吉先生」という感じでしょうか)の読みの深さ・濃さ・鋭さを感じました。

 

なぜ本を読むのか。彼は主に近代文学を読んでいるようですが、本を読んで面白い思う瞬間として、①普段からなんとなく感じている細かい感覚や曖昧模糊とした感情を、文章で的確に表現され、自分の感覚を確認(共感)するとき、新しい感覚を発見したとき、と言っています。

彼は「人間失格」や「こころ」など、太宰や漱石や芥川の作品に共感し、何度何度も読み返したそうです。「読み方は人それぞれ。反応する場所も仕方も様々。一人の人間でも読む年齢によって異なる反応がある。文学は自分の人生に返ってくる」も同感。

 なぜ自分の気持ちがわかってもらえないのか、わかってもらえないこと、そして自分の説明能力の乏しさに悔しい思いをしたり、悶々としたりすることがある人も多いでしょう。文学は微妙な感覚を言語化してくれます。この力は、友だちとの間での会話、コミュニケーション能力の向上にもつながるものと思います。普段の会話や、ネットでの会話では伝わらない感覚でしょうか。語彙力や表現力を磨くためにも、読書の意義は確かに大きいものがあるでしょう。

 

とにかく、彼の読みの深さには脱帽です。「火花」では若手芸人世界の「空気感」をえがかれましたが、また「火花」に続く作品を世に問うてくれることと思います。

もう一つ。彼の本を読むと、無性に太宰や芥川が読みたくなる。すばらしいプレゼンターです。

 

図書館に寄付しましたので、ぜひ借りて読んでください。時間もそんなにかかりません。すぐ読めますよ。