校長ブログ

第72回 卒業式 式辞

大阪府立阿倍野高等学校 第七十二回 卒業式  式辞

校庭の木々や、花々が、早くも春の訪れを告げています。本日ここに、大阪府立阿倍野高等学校第72回卒業証書授与式を挙行し、卒業生348名に卒業証書を授与いたしました。現在、新型コロナウイルスの感染について、全国的な防止対策がなされているところですが、卒業式はかけがえのない行事であるとして、ここに実施いたしました。 ご臨席をご予定いただいておりました大阪府教育庁のご代表をはじめ、多数のご来賓の方々には、残念ながらご辞退いただくことになりましたが、実施に際して多大なご心配をいただいた保護者の皆様には、特別なご配慮やご協力をいただきましたことには、心より感謝申し上げます。また、今日までの長年にわたり、お子様の成長を見守ってこられ、今日の晴れやかなお子様の姿を前にされ、感慨もひとしおのことと拝察し、心からお慶びとお祝いを申し上げますとともに、本校の教育に格別のご理解とご協力を賜りましたことに、本校教職員を代表しまして、厚く御礼申し上げます。

卒業生の皆さん、3年前、皆さんは希望を胸にこの阿倍野高校に入学して努力を重ね、所定の学業を終えました。一人ひとりが3年間たゆまぬ努力を積み重ねてきた結果であることは言うまでもありません。心から祝福いたします。さて、皆さんにとって、本校での3年間はどのようなものだったでしょうか。私は3年前の入学式で2つの話をしたことを振り返ってみました。

一つ目は、伝統校、阿倍野高校の先輩たちの頑張りを紹介し、皆さんにはそれに続くだけでなく、さらに頑張ってほしいと言いました。具体的には本校の特色である電子黒板を活用した授業や、毎日の朝学習の授業などです。特に、朝学習は他校より20分も早い登校と、10分間の英語ドリルを皆さんは毎朝頑張り続けたことになります。「継続は力なり」という言葉もありますが、皆さんが3年間、この努力を続け、やり抜いたことは誰にも真似できない阿倍高生の一番自慢とするべきことです。小さいことをあたりまえのように「凡事徹底」した習慣をつけてきたことは、次の大きなステップになるただ一つの道となるでしょう。毎朝、単に英語力をつけたということだけではなく、皆さんには、やるべき時には、気持ちを切り替えて、脳を活性して取り組めるという、集中力が自然と身についているのです。これらのつけた力や経験を糧にして、新たな夢や目標に向かっての努力に活かしていってほしいと思います。    天才にして努力家のバッターと言われたイチロー選手は高校時代に練習外の10分間の素振りを毎日欠かすことのない日課にしていました。そしてプロ野球選手をめざし、首位打者をめざし、メジャーリーガーをめざして、最後には世界からめざされる人になりました。皆さん一人ひとりの将来にも大きな期待をしたいと思います。

二つ目は「どんな大人になりたいのか」という目標を持ってほしいと言いました。人は、自分の心の持ち方や意識を変えれば行動が変わり、行動が変われば習慣が変わり、習慣が変われば人格が変わり、そして最後には運命までも変えると言いました。72期生の皆さんを入学時から観ていた私は、2年生から3年生にかけて、行事や特別活動を通じて、自覚と責任ある高校生として、また思いやりのある行動がとれる人としての成長ぶりを見ることができ、とてもうれしい気持ちになりました。                  修学旅行では北海道の大自然を満喫しながらも、長距離の移動やそれにかかる時間など、体への負担も大きかったはずですが、どの企画に対しても全員で協力して楽しもうとする気持ちと、お互いに思いやりをもって気遣い合うという皆さんの暖かい心遣いを感じたことを覚えています。全体レクでは最初から全員がその気持ちが高まっていて、実行委員のリードに乗って最後まで盛り上がりました。まさしく生徒が主体になった修学旅行となりました。                                              体育大会や文化祭においては、いつもできるだけ生徒の力で成功させようという目標がありましたが、特に今年は3年生の自治会役員や体育大会・文化祭実行委員だけでなく、応援団長、デコレ長、クラス代表、そして3年生の一般生徒までが終始1.2年生に模範を示し、優しく粘り強くリードし、生徒主体の行事として成功に導きました。その陰ではいろいろな苦労があったと思います。体育大会では、立候補で実行委員長になった西尾君は、自治会の機関誌の「聖火」の中に、「何かを決めることの難しさや、人をまとめる事の大切さ、実行委員の役割の大切さや大変さが分かったことでより楽しかった」と、その経験で成長できたという感想を書いくれています。副委員長の正岡君も「自分が率先してやらなければという思いがあったが、いつも一緒に頑張るメンバーや先生のサポートをもらったから頑張れたし、うまく進められて3年間で一番いいものにできた。」という協力があったことの大切さを書いてくれました。また、同じ副委員長の松田さんは「この体育大会の成功はもちろんですが、1.2年生の実行委員が、来年も実行委員になりたいと思ってくれるようにしたい。」と次の体育大会につなぐ目標があったことが書かれていました。彼女の後輩たちを思う、学年を超えた愛情が伺えてとても感動しました。                                                   そして文化祭では、実行委員長の村田さんは何か新しいことをしてみたいという思いで取り組み、オープニングの「クラスPR」やエンディングの「アベコレ」など、一からの企画作りに挑戦してくれました。聖火には「すべて最後までやり切ることで得られる達成感を感じることができたのは実行委員や出場者、先生方のおかげだ」と、感謝のきもちを書いてくれました。私は、体育大会・文化祭の企画や運営も優れた実行力を発揮していたとは思いますが、何よりも、全生徒がその場にいる誰もが楽しめる体育大会や文化祭を成功させたいという想いがあふれており、そこには三年生の皆さんのリードがあったことが、大成功の要因であったと思っています。そうした皆さんの人を思いやる心は、これから生きていく上において、自分や周囲の人に成功や幸運をもたらすことでしょう。本校での3年間が皆さんにとって、将来の財産になるものと確信しています。そして、皆さんの努力の成果の陰には、皆さんを見守り、応援し続けている家族や、指導してくれた先生方、そして一緒に頑張った仲間がいたからということも忘れないでください。

さて、これから皆さんを待ち受ける社会は、かつてないスピードで変化しています。日本の経済を支えてきた、ものづくりやサービスなども、産業構造が変化し、これまであった事業が縮小したり、なくなったり、また、新たな事業が大きく成長するなど、社会や産業の仕組みが変わりつつあります。そこで、皆さんには思いを込めて、今日の門出の日のはなむけとして、二つの言葉を贈りたいと思います。                                                                     一つ目は、「新しいものをつくる、創造する力」です。私は、昨年度、制定した校訓の三つの言葉の中に「共創」という言葉を入れました。「共創」とは仲間と共に創造し、新たな価値感を産み、それを共有することです。知識を得、世の中の流れを知る事ができれば、そこから得たものから独自のアイディアが浮かんで組み込まれ、新しいものを創り出せるということです。例えばUチューブやインスタグラムを通じて新しい価値を産み、他者と共有しあっているのもそのひとつです。ここが、人工知能やロボットにはできない人間独自の強みとなります。ただ創造力は簡単に身につくものではなく、今までの経験や知識の延長線上にあるのです。「温故知新」といった言葉があるように、これまで蓄積してきた経験や知識をおろそかにせず、これからも積極的に学ぶことで、しっかりと活かされていくのです。                                                                   二つ目は、「勝つためのメンタリティ」です。これは、何事にも勝負どころで強い人は、その勝負におけるメンタリティといったものを持ち合わせているということです。2学期終業式でラグビーワールドカップが予想を超える大盛況となった話題に触れて話をしましたが、その一部を振り返ります。体格的、体力的、経験的に劣勢である日本チームがなぜ世界の強豪チームに勝てたのかという理由は、二つあり、まず日本が唯一優れている俊敏性を活かすとともに 世界一厳しいトレーニングと練習をやり抜いたことが一つ、そしてもう一つは、日本チームは苦痛を伴うその努力を、秩序ある連帯感で冷静に続けられる精神力をこの大会まで持続してこれたこと。これが日本チームの強みであり、日本人の魂だと世界の専門家が称賛していると話ししました。これは、逆に言うと、それをすれば勝てるのだという理論をしっかりとチームとして持てていた。ということです。もっと言い換えれば成功を収める人はその考え方から勝つべくして勝つ思考やイメージをもって計画し、信じて行動しているということです。皆さんも日本チームが与えてくれた「人は目標に向けて、やれるという信念を持ち、ぶれずにその努力を続ければ叶うという証明」と「与えてくれた勇気」を、これからの人生に活かしてほしいと思っています。

最後になりますが、本校はいよいよ2年後の令和4年に創立百周年を迎えます。阿倍野高校の築いてきた輝かしい歴史と大切に守ってきた伝統を百年続けられたという大偉業です。これは学校だけでなく、今日からの皆さんを含む3万人の同窓生を会員とする「芝蘭会」をはじめPTA、阿部高サポーター会、阿倍高会など多くのサポーターによって支えられて成し遂げられようとしていることです。72期生の「思いやりあふれた行動力」を持った皆さんには、是非これから百周年記念事業に向けてその中心になる人たちとして、全員に参加してもらいたいです。母校となる阿倍野高校の百歳の誕生日を皆さんの若い力で盛大に祝い讃えながらこれからの時代に輝く阿倍野高校の未来の創造を語り合いましょう。

令和2年 3月 2日     大阪府立阿倍野高等学校     第22代校長 古元康博

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